2012年3月22日木曜日

やや乱暴にパンを

やや乱暴にパンを

我が家の冷蔵庫に何が入っているか。すべて解っているヒトは稀だろう。私にも解らない、これはおふくろと冷蔵庫を共有しているせいもあるけれど「伏魔殿」と名付ける由来だ。
考えてみれば、この食料余り事情はヒト人類史上初めての経験ではなかろうか。こんな過剰、いつまでも続くとは思えない。

今は昔、学生の頃私は「アルプス製」の小さな冷蔵庫を持っていて、入っているのは氷と水の入ったボトルだけだった。いったい何を食っていたのか思い出せない。と書いて「そういえば」と、思い出した。
六畳一間のアパートで、飯を炊いて、塩さんまを炙って、と調理しかけたところに「H女史」が、何の用事があったのか訪れた。彼女は買ったばかりの中古バイク、ホンダ製の125㏄単気筒「JX125」を私に見せに来たのかもしれない。饗(もてな)すために、もう一匹さんまを焼いて、畳の上に食器をならべて二人並んで食った。そんな事を。
食いながら「新婚みたいだな」と言ったらいい笑顔で笑った。じっさい彼女はちょっと居ないような美人だった。その時彼女から「美味しそうに食べるんじゃね」「綺麗に骨をはずして食べるわ」とホメられた。褒める所が他になかったせいもあろう。だがしかし「H女史」は私に好意を抱いていたのだろうかと今になって考える。卒業して後、大阪の天王寺辺りで所帯を持ったと聞いている。どうしているかしら、もう40年も昔のことなのである。


さて気分のいい思い出は、そこまでにして。冷蔵庫に使いさしのとろけるチーズとカレーの残り、賞味期限を過ぎた焼きそば麺を見つけた。しばらく思案した後、パンを焼こうと思い立つ。それもプアーなものを焼こう。そうすれば、パンを台にしてとろけるチーズを載せたピザが食える。ナンの代わりにパンのカリカリ部分でカレーを掬って食おうか。お好みソースを利かした焼きそばを挟んでもいけるだろう。私は、何時まで経っても餓鬼なのである。

パン焼き器とドライイーストを用意して
砂糖と塩とイーストを入れて
少し温めた牛乳を入れた。牛乳の脂分だけで焼いてみよう。 脂分なしだと生地がアッチコッチに付いて扱いが面倒だ。例えばフランスパンはそんな感じになる。
上から強力粉を入れて
発酵まではお任せ。一時間か。
お任せといっても気になる。覗いてみたらコネテます。
発行したぞ
まな板の上に取り出して
少し休ませた(ちょっと膨らんでいるのがお解りだろうか)
半分にカットした
こんなスリコギで平らに伸ばして

天板の上に載せて
オーブンで焼く
20分もしたらこんな感じ
こうしてみれば、パンの色は心地よく焦げた色なのである。

今はカリカリだけれどそのうちに中の水分が外の皮の部分にしみ出してしっとりとなる。
「ヒトはパンだけで生きているんじゃないよ」という尊い教えを思い出した。でもなー、焼いてまったもの食わずばなるまい。

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