石油ストーブ
春めいてきたとはいえ、深夜に起きだしてみればストーブを燃やしたくなる。点火して五分ほど経てば、火は立ち上り空気を取り込みつつ燃え始めた。
「ボッ・ボッ」という連続音を発しながら燃えている。芯の出し入れをし、火筒を調整してやれば、音は消え静かに燃焼している。その炎を見ながら「我が命も同様」のことだと思う。
燃料を入れて、空気を取り込み、静かに燃えている、そんなひとつの個体。それが「ストーブ」であり、「我が命」の形である。
冬の夜長、様々な時代の、様々な所で、「命」は燃え続けていた。
九十年前に燃え尽きたひとつの「命」にひとつの形を与えたひとつの詩。「やさしくあをじろく燃えてゐるわたしのけなげないもうとよ」宮沢賢治「永訣の朝」。
詩として、歌として、祭りとして我々の命は受け継がれ続けている。それを、「愛」と名付けてもそんなに問題ではなかろう。
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