2012年8月22日水曜日

ご注文の本が

火事騒ぎですっかり忘れていたけど、公民館に頼んでいた本が来た。注文したのは火事の前だから、四つ角で不意に昔の自分に会ったような気分だ。
拾い読みしてみた。

「マチンガは、わたしがすっかり仲間になったと感じるたびに、わたしのの心をくじいた。マチンガは、口約束のみで、後に代金を支払ってもらう約束でわたしが前渡した古着を何度も持ち逃げし、しばらくするとしれっとした顔で戻ってきた。マチンガは何度も嘘をついてわたしからカネをかすめ取り、鞄に鍵をかけることをすっかり諦めさせた。」

「彼ら言葉はいっけん矛盾だらけに思えた。」

「たとえば、交渉中に何かを思いついた小売商の目がキラリと光る瞬間。すました顔で「たかり」をやり過ごしていた中間卸売商の口元がニヤリと持ち上がる瞬間。警官を発見し、荷物をひっつかんで逃げる真剣な横顔にどこか楽しげな笑みが浮かぶ瞬間。消費者に商品を売りつけて振り返った行商人の茶目っけたっぷりな顔・・・・。わたしはこのような彼らの表情や態度にみられる軽やかな生命力に、心底、魅了されてしまったのだ。」

この本は民族学の論文なんだけれど、この語り口に惹かれた。読んでみようと思っている。

簡単に選り分けて、分析して、結論を得て、解決。そんな事柄に出会ったことは少なくとも私にはない。(大阪の彼には出来るみたいだが)


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