2011年9月4日日曜日

台風冠水顚末 1

台風冠水顚末
これを書いているのは9月4日午前4時。きのう3日は台風が頭上を通過し、私の棲息する地域は冠水した。ツイッターで呟き続けた記録を手直しして載せてみたい。同じような台風による冠水体験を7年前にしているので驚きは半分だったが、油断もまた半分あった。
・三日早朝、夜明け前。
雨風の音で目を醒ます。階下でコーヒーを入れていると、オス猫がやってきて、東向きの窓際に座って「出るから開けて」とこちらをみる。開けてやると雨と風がドッと吹きこんできて驚いた彼は思案している。いつまでも開けてはいられない。そこらじゅうの物が濡れてしまう。あきらめさせた。すると、北向きの裏口に彼は行って「ここから出る」と私を見る。「おまえな。これは台風というもので、裏口にも来とるんで」と開けてやる。言葉は通じないから見せて納得してもらう以外になかろう。彼はしばらく風と雨に満ちた暗闇を見ていたが、思い定めたものか弓を引き絞るように背中の筋肉に力を込めた、次の瞬間、闇の中に消えた。「何処ぞに、これと決めた相手でも待たせているのだろうか」とジイは考える。
・一時間後
猫は出て行った。これといった相手を待たせているわけではないおじさんも、川と海の水を見に行くために出てゆくことにする。
沿岸部0メートル地域の浸水はふたつのケースがある。ひとつは、海水が堤防を越えてくるケース。もうひとつは、海水は堤防で防いだとしても、山からの水で浸水するケース。私の体験では後者の確率の方が高い。メカニズムを説明すると。土砂降りの雨の時、海の水位が高いと樋門を開けて海に排水する事が出来ない。もたつく内に堤防の内側に海と同じ水位の水が溜まり浸水する。このことはあまりご存じないだろう。堤防をいくら高くしても内側に淡水の海が出来るわけだ。これまでは遊水地の存在がそれを緩和してきたのである、この地域では海抜0メートルの水田が遊水機能を担ってきた。しかし、水田の埋め立て・宅地化で水田の遊水機能は急速に失われつつある。寓話的に表現すれば「ヒトの一時の欲の海に、われわれは浸かる事になる」わけだ。

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