2011年9月8日木曜日

ネズミデのこと つづき

石付(イシズキ)を掃除して、割ってみた。全く白い内部。

ダシを取ろう。その間に一度茹でこぼして使うと聞いていたからそうしておく。

出し汁の中に茹でこぼして取り出した茸をいれた。煮ればまだ灰汁(あく)は出てくる、灰汁も味の内なのだ、神経質に取る事は無い。


醤油で適当に味付けをして、解きタマゴを用意して、クラッと来たら中にサッと浮かせた。

ついでに、残っていたトーフも入れた。


家庭料理人としては、プロの料理人は楽だなと生意気にも思うことがある。向こうは腹を空かせて、「金まで出しているんだ、サアサア今すぐ持って来て頂戴」と思い設けて待っている前に「おまちどうさま」と料理を置ける楽さがある。こちらは、何時喰うか解らぬ者を相手に、冷めるかも知れぬ、暖め直しもできる物を作る工夫がいる。と。


しかし、まあこちらにはその場限りの材料・裁量で一期一会の創作の楽しみがあり、むこうはメニューを外れられぬ苦労もある。ひと言で料理と言っても全然違うものであるというのが結論だ。

御託はそのくらいにして、鮎を焼いてみよう。
塩を掌(てのひら)に取って、ひれというひれに丁寧に摺りこむ、

そうすれば身にも自然に塩が付くだろう。頭には多めに塩をしたガングロ防止の化粧だ。後は直ぐに焼く、塩が身に浸(しゅむ)で鹹(から)くなる前に焼く。腹を手前に見て左に頭、それが表側、この面を最初に焼く。美味しそうな焼き色のなるころには塩も適当にしゅん(浸)でいっているだろう、裏は全体の焼き具合を調整する為の焼きを入れる。きょうはこのくらいの焼き加減。
追記
ツイッターにも書いたが、材料を用意していたこの項目を書くのをうっかり忘れていた。気持ちがもう離れていたのだ。それが証拠に書いてはみたものの「味の感想」を書くのを忘れている。書いておこう。
茸・ネズミデは味もさることながら「歯応え」に優れた茸であった。八十半ばのオフクロは生まれて初めて食べた、美味しいと御執心だ、炒めてみらどんなだろうと言っていたが、全部汁にした、それが正解だろう。
鮎の感想は不要だろう、川魚の代表選手だ。美味しい。あえて書くならば小さなものは甘露煮でもいいが、これぐらい大振りの鮎は焼くのが最良だろう。

2 件のコメント:

あんど、 さんのコメント...

こんにちわ。
わたしもネズミデというのははじめて見ました。きのこ好きの私ですが、スーパーで売っているきのこぐらいしか知りません。^^;
鮎は何年かに一度食べられるかどうかの私にはご馳走過ぎます。^^ほんとうにおいしそうです。

野良通信 さんのコメント...

コメントありがとうございます。「おいしそー」と言っていただけると、ブログを書いた甲斐があります。
ネズミデは初めて食べる茸でした。この形、この色。山で見かけても食欲をそそられることはないでしょう。これが美味しい物と知れるのは、県北の民の幾世代にわたる試行錯誤の賜物であると思いました。
我々の社会が持つ「豊か」にこんな知恵がカウントされているか?見直す時が迫りつつあります。手遅れにならないうちに。