2009年10月8日木曜日

言葉を集めて つづく

・ 「カザ」
におい。匂う。臭う。物の本によれば、かなり広い範囲で使われているらしい。「カザんでみい」「~のカザがする」と使う。目には見えず、音にも聞こえぬ、ものゆえ気づかないが、においは、我々の記憶の奥底に潜んでいて、思わぬところで呼び覚まされるものでもある。新居のにおい。青畳のにおい。藁束のにおい、においは記憶と硬く結ばれている。それはそうとしてどうやら、カザは風に近いようだ。においを発する本体よりも、カグという行いに傾いているように思える。
私は、犬との散歩を夜の日課にしているが、彼らの散歩は嗅ぐことに始まり、嗅ぐ事で終わる。夜空をみあげるのはヒトで、地面を見るのは犬だ。逆はまずない。

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