2010年12月8日水曜日

病が来た

病が来た
ここ数日、我が世界は布団と便所と痛みの中にしかなかった。ここ数日、我が身は発熱したチューブでしかなかった。上から何を入れても下からは水しか出てこない。痛みは電流のように、チューブを規則的に走っていた。最高到達温度は39.2℃を記録した。

いっこうに、厨房に出没せぬを心配してか、つれあいがやって来た。「熱がある。体中痛みが走る。喉も痛い。咳はないけど」と訴える。「そりゃー、胃腸炎じゃな」「風邪じゃねーんか」「胃腸炎でも熱ぐらい出る。なんかヘンなもの拾うて食べたんじゃないの」反論する気力も体力も残ってはいなかった。
看病なのか、つれあいは先ほどから傍らで眠る。イビキをかいて。物理的孤独死だけは免れそうだが、病がコドクであることには変わりない。

さてそれから数日。直ったとは言い難いが、かつては文明の花形(今はキラワレもの)の酒とタバコを口にするまでには回復した。

そんなわけで、『病牀六尺』正岡子規を思い出した。あの本、確かここにあるはず、と阿部昭全集の入っているダンボール箱をひっくり返して見つけた。うっかり腰を痛めたのは、笑えぬおまけだったが。

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