2009年9月5日土曜日

言葉を集めて つづく

・ 「何ができょうるんで」・「ちんばは宵から」
百姓が野良着姿で会えば、こう挨拶する。なにをしているの、何をしようとしているの、の意。これは、百姓仕事が(ジャズの演奏の様に)多様で変化に富んでいるからなのだ。トヨタの工場の前で「なにができょうるんで」と聞けば、叱られるだろう。Mさんは、家の裏口出たところの私に、そう聞く。「そろそろ、蒔きものをせにゃあ、と思うとる」と答えると、「ちんばは宵からじゃ。」と言う。時刻は日暮れ前なのだ。後姿を見ると別に足を引いてるわけではない。この言葉は、歳をひろって、あちこちが痛くなりあまり働けなくなった者は、野良に出るのも夕方になってからなのである。という意。
ちなみに、つれあいは百姓の子であった。農繁期の働き方を聞けば、朝飯前に家近くでひと働きして、それから朝飯、遠くで仕事をする時には、おやつと弁当をもって、10時におやつ、昼に弁当、それから3時におやつ、帰宅して晩飯。であったそうだ。5度の栄養補給は、そうでなければ体がもたない、過酷な労働を物語っているだろう。私はそれを支えていた、価値意識に今は興味を持っている。

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