2010年3月11日木曜日

ブログの孤独 つづく

大きな物語・小さな物語

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』加藤陽子、朝日出版を読んだ。図書館から借り出すと、黄色の栞が挟んであって、「この資料は、次の人がまっています。」とあるから人気の本なのだろう。本は買って手元に置くといつでも読めると読まずにいることが多いから、借りて、せかされて、こうして急いで読むのもいい。この本は出版時に賛否があった。「日本が中国を侵略する、中国が日本に侵略されるという物語ではなく、日本と中国が競いあう物語として過去をみる。」(ページ84。)あたりの加藤氏の視点を否とした論もあったようだ。読んでみて、いい本だと思った。部分を取り出すので誤解を恐れている。続けて取り出す。「天皇を含めて当時の内閣や軍の指導者の責任を問いたいと思う姿勢と、自分が当時生きていたとしたら、助成金ほしさに分村移民(満州への移民のこと-引用者注)を送り出そうと動くような県の役人、あるいは村長、あるいは村民の側にまわっていたのではないかと想像してみる姿勢、この二つの姿勢をともに持ち続けること、これがいちばん大切なことだとおもいます。」(ページ403。)これが、本編の最後にある。歴史を職業としようと、しまいと、このクニの行く末を思うヒトは、この問題提起を共有しているはずである。
加藤氏にはこの本にあるような、小さな物語を集めて大きな物語を紡いでゆく事を期待したい。彼女には出来るのではないかと思った。

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