どうやら、陽の光のあるうちは、屋外で機械をいじり、飽きればコトバというパターンが、私にはあるようだ。
バラシた絵、30年前に組み上げられたギヤはそのままに錆びることなくそこにある。ギヤケースはアルミ製、歯車は鉄製である、必要な軸にはベアリングがかませてある。このギアボックス設計者は全てにベアリングを使っている、このギアボックスだけを取り出せば、後百年は使えるだろう。私は夢想することがある、千年後、ギヤボックスを掘り出した考古学者がその歯車の美しさと論理構造に驚く事を。
エンジンにかかろうか。発電用コイルと点火用センサーが付いていた蓋を外すと、ふたつのギヤが現れた、このギヤの歯数は一対二である。数えて見てください。と書いて絵を見れば、少しむずかしいか。ともあれ、ベンツであれ、運搬車であれ、およそ四サイクルエンジンの基本はこれである。むろん、資本主義生産様式で作ろうが、社会主義生産様式で作ろうが、この歯数比は変わらない。
歯数の多い方の歯車は樹脂製である。シリンダーヘッドにある吸気弁、排気弁を動かすだけの力しかこれには掛からぬからそんなに丈夫でなくていい。しかし、樹脂で?とは、とこの絵を写した後外しにかかると、簡単にぼろぼろに壊れた。
ギアとギアとのかみ合わせ部分に小さくマークが打ってあるのをお気付きだろうか、この歯車は、互いに組み合う相手の歯が決まっているのである。運命の赤い糸は、私の介入によって長年の呪縛から解放された?のであろうか。
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