2010年10月9日土曜日

またまた池のこと

雨が降っている。村の道を傘をさして歩いていると、四つ角でばったりY氏に合った。Y氏は、百姓の先輩で私よりひとまわり程も年上だろうか。池の水系のいちばん末端の田に稲を付けている。私と同じで納屋からの帰りだろう、彼はにっこりして「今年は、良(よ)う水を入れてくれて、ありがとな」と私に言う。「いや、そんなことない、いつから(稲を)刈られるんですか」と私は答える。会話はそれだけだ。
抜きつづけた池の水は、この雨で少しは回復するだろう。池水を落とす年単位のひとつのサイクルが終わり、また新しく始まっているのだ。夏の日々、水のことになると、目の色をかえて争っていた百姓は、今は稲刈りと籾摺りのことで頭がいっぱいなんだろう。
それでいい。今年もなんとか米が取れた。私はY氏の言葉に、この夏の池守の疲れがふーっと抜けてゆくようなここちがした。

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