2010年9月7日火曜日

病院にて

病院にて


見渡せば、平均寿命よりは若いものの、それに限りなく近い人々が溢れている。まともに難なく歩いているのは病院の職員くらいである。多勢に混じって、受付の前に座って待たされている。見れば、5メートル先を歩いて来ている彼は、受付にたどりつくまでにはあと2分はかかりそうである。

私を含めて、ここには来たくて来ているヒトは少ないだろう。と考えた。あげくに待たされている、いつまで待たされるのかわからない。そんなふうに待たされている。

忘れられているの?と不安にもなる。だが大丈夫、彼等は待たせる専門家だから、忘れていることはまずない。(忘れるようでは専門家にはなれない)。

鉄道などでは、待たされたあげくに暴力を振るう輩が横行しているらしいが、ここでそれが無いのは、やはり病気のなせるわざなのだろうか。とここまで考えて。受付を見れば老老カップルがならんで、カウンター越しに職員と話をしている。傍らには車椅子。さてどちらが座るのかと見ていると、老女子が座り、老男子が押して去った。ちょっとした気の迷いで一緒になったとはいえ、なれの果てがこれなのも悪くない。と考えた。

人生の縮図が展開されている場所といえば、雑然とした病院の待合廊下は、駅のプラットホームに似ているのかも知れない。と、ここまで考えて。どうやら私は待つことの楽しみを見つけたようだと気づいた。

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