2009年8月27日木曜日

言葉を 集めて つづき

・ 「ケシ」
メモによれば「田のはじの土を盛ってあるところ、アゼではない。」とある。では、と
・ 「アゼ」
を見ると、メモは空白になっている。
ことほどさように、当たり前すぎて説明しづらい物や事は多いよな。試みれば以下のようになる。
そもそも田は、稲それも水稲を栽培するために作られた生産設備であるから。どこからか水を引いてきて田面に溜める必要がある。いくら水平な田面を用意しても溜めるためには、漏れないように周りを何かで囲わなければならない。例えば、絵の額縁の部分を想像してください。それが「ケシ」である。「岸」から変化したと考えるがどうだろう。
さて、「アゼ」、である。ケシは土を盛って作るのであるが、それでも水は漏れるのである。(このあたりは棚田であるからよけいにそうなる)で、田植え前になると、田面の土を水でこねてケシの内側に塗るのだ。ちょうど土壁を塗るように。これがアゼである。海岸に例えると、防波堤部分にあたる。したがって、アゼは稲を育てている時だけに存在し、やがて雨風に叩かれて田面に還る、しかし、ケシは年中ケシのままだ。
余談であるが、土で作ったケシはそれに生えた草の根で持っている。ケシの草は生やしているのだ。このことを忘れてときにケシの草はじゃまものと除草剤をかける輩がいるが、あっというまに、ケシはボロボロに崩れてしまうことになる。元に戻すには、数年かかるだろう。田圃の構造も互いが互いを補い合う、弁証法によって成り立っている。
尚も付けくわえると、したがってケシは田圃の面積のかなりの部分をしめることになる。小作として借りるときに、これを勘定に入れるか、入れぬかは地主との駆け引きであった。本筋からずれた、今は昔の話である。

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