2009年11月5日木曜日

言葉を集めて つづき

・ 「ゾゾリ」


あるいは、「ゾゾロ」。97.8.22。日付から思うに、盆明けに、中国山地の方で聞いた(聞かれた?)ものだろう。メモには「わき芽の意、サトイモのゾゾリを取るかどうか」とある。

さて、この言葉が手近の辞書には無いのである。何かというと引き合いに出てくる「広辞苑」にもなし、インターネットの検索にも引っかからない。諦めかけて、古語辞典を引けば、あったのである。「ぞぞりこ-側子・里芋の親芋についた小さい芋。小芋。」とある。どうやら、サトイモにだけ使われる言葉のようである。

サトイモはその毛むくじゃらの容貌にもかかわらず、好む者が意外と多い芋である、物の本によれば、うそかほんとか縄文の頃からこの半島にいるらしい。サツマやジャガなどお里の知れた、新参者に比べてはるかに万世一系の歴史を誇り、なを好まれてもいるのである。

サトイモの皮を剥くと手が痒くなる、ヌルヌルしていやらしい、と料理を作る者からは煙たがられてもいるが、いったん豚汁の中に入ればそのぬめりがちょうどのとろみとなり、煮崩れそうで煮崩れぬその性格は、サツマやジャガの追随を許さぬ存在なのである。

ところで、辞書の「ぞぞりこ」のあとに「そそろ」があり「鷹が鳥を食べ終わって、その毛を吐き出したもの。」とあった。なを「そそろか」は「けば立ち、なめらかでないさま。」とある。小芋の毛むくじゃらの容姿は、「そそろ」に似ているだろう。「鷹」と「芋」との意外なつながりに私はおおいに興味をそそられたのであった。

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