2009年11月22日日曜日

言葉を集めて つづき

・ 「キタケ」


北気。メモには「中国山地で冬に降る霧のような雨」とある。もともとは「北から吹いてくる風」の意、だったのだろう。しかし、瀬戸内と違い、中国山地では、北からの風にはかならず、時雨(しぐれ)を伴うのだ。このメカニズムは、素人の私にも想像がつく、この列島は基本的に偏西風にさらされているから、日本海を渡って来る、湿った空気が山地に当たる、それが上昇し、霧となり水分を放出する。こうだろう。北に行くにつれこれは雪になるのだろう。
いや、このごろ雪は積もらないが、「私が小学生の頃は、」と、中国山地の水を飲んで育った、つれあいは言う。「朝起きてみて、雪が降っていたら、学校まで行くのに、親が前を歩いて雪を踏み固めてくれて、そのあとを、ちっちゃな子供の私たちは長靴で~、それでも、長靴の上から入った雪で靴下が濡れて、霜焼けに~」と。(こんな、具体的で、直接的な子育てがかつて、中国山地では展開されていた事に、私は、ある感慨を覚える)

つらら、霜柱、アカギレ、しもやけ、これらはみんな北に行ってしまった。彼らはどこまで行っているのやら。日陰の残り雪が懐かしがっている。

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